全然知らない人様の披露宴でも、意外とほろりというか、かなりくる事があるのです。
さすがに最近は少し慣れましたが、それでも泣きそうになることが多々あります。
でもスタッフが泣いてはいけないので、我慢をすると余計にがががっと上がってきて大変な事になります。
その中でも特に忘れられない披露宴が何件かあります。
その日の新婦側は、お母様だけでお父様はいらっしゃいませんでした。
数年前に他界されたようで、お母様と弟様が出席していらっしゃいました。親族も数人いらっしゃったので、特別新婦側が寂しい感じという訳ではありませんでしたが。
お母様は穏やかな感じの方。弟様が高校生くらいなのですが、これがまたとても良い子。
可愛らしいお顔立ちに、ちょっと幼い感じでしたが、何か問いかけると立派に、しかし偉そうぶらず優しくお返事をなさいます。
弟様は、常にマイカメラを持ち、披露宴の間中お姉様の晴れ姿を撮影していらっしゃいました。
1番近い親族様というのは、もちろんカメラやビデオを撮影される方もおられますが、キャンドルサービスや、その他イベントごとの時間は割と座ってじっと見ていらっしゃいます。
でも弟様は必死に撮影し、メインテーブルの方まで走って行って撮影される事もありました。
その日の私はその新婦側の親族のお世話係をやっておりましたので、その姿をかなり見かけましたし、微笑ましく思っておりました。
披露宴も終盤、新婦様がお母様への手紙を読み、新郎新婦から両家の御両親への花束贈呈へ。
その際も弟様はご自分のお席に座る事もなく、必死にカメラ撮影。
新婦様のお手紙には、お母様への気持ちと、亡くなったお父様への気持ち、弟様への気持ちも綴られておりました。
ステージでのお母様が泣いていらっしゃるのはもちろんですが、カメラ撮影をしている弟様。
ステージ上の邪魔にならないようにしゃがみ込んで、でもなるべく近づいて記念の撮影をされているのですが、たまにそっと横を向いて指で目の辺りを拭いていらっしゃいます。
弟様、泣いていらっしゃいました。必死で撮影しながら泣いていらっしゃいました。
その横を向く頻度が多くなり、多分かなり泣いていらっしゃったんだと思います。
もう指ではなくて腕で顔を拭っていらっしゃいますが、それでも気丈に撮影をされてます。
だってお姉様の晴れ姿ですものね。
近い親族では他に撮影する方もいらっしゃいませんでしたものね。
お母様に「写真いっぱい撮ってね」とお願いされていたのかもしれません。
腕で顔を拭ってはカシャッ。拭ってはカシャッ。
健気な弟様でございます。
花束贈呈の時、ご両親様のお世話をする係としましては、すぐ横で待機しています。その後のするべき事もいっぱいあります。
頭の中はその次の作業の事を考えておかなければなりません。
しかしこれにはやられました。
泣くのを堪えるのに必死でした、私も。
もう嫌でも弟様のお姿が目に入ってくるし。
どのカップルにもお幸せになって欲しいとは思いますが、この時の新婦様には本当にお幸せにね、と思いました。
お母様、弟様にもこの先是非お幸せに生きていってほしいと思います。
こんなお優しい弟様なら、きっとご自分も良いお嫁さんを見つけお幸せになりますことでしょうが。
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